8月前半に大きく値を下げた日経平均株価ですが、アメリカの景気後退懸念が和らいだことから徐々に値を戻し、8月16日には、7月11日の年初来高値(4万2,224円)から史上最大の急落となった8月5日の終値(3万1,458円)までの値下がり分の半分の水準(3万8,062円)まで回復し、今日8月20日の終値も、同額の3万8,062円を付けています。
前回のブログでは、「新NISAで資産運用を新たに始めた方には、動揺があったかもしれませんが、資産運用の基本である『長期・積立』の視点で、積立投資を継続しましょう」とご提案しました。
今回は、積立方式でない資産運用についても、「分散」を意識して継続していきましょう、というご提案です。
株式相場の急落を受け、新NISAの成長投資枠で株式投資を行ってきた方の中には、「リスク分散のために、様々な銘柄に投資してきたのに・・・」と戸惑った方もいらっしゃるかもしれません。
ここで大事なことは、分散投資は「安全資産とリスク資産に配分して投資を行う」ことで、前述のように「様々なリスク資産に投資を分散させる」ことではありません。新NISAでの投資対象だけでなく、預貯金などの安全資産も含め、分散の対象や規模を検討していくことが必要です。
「相場で損をするくらいなら、現金や預貯金だけにしておけば、余計な心配はない」と思ってしまう方もおられるでしょう。確かに、安全資産の現金や預貯金には、基本的に元本割れの心配はありません。でもその代わり、「価値が目減りしてしまうリスク」があります。
日本では長くデフレが続き、お金の価値より物の価値が下がる傾向にありましたが、現在は政府が「物価高を上回る所得の増加」を目指すなど、物価上昇が前提の時代です。なので、私たちとしては、リスク資産に対しても一定の投資を行い、資産の目減りを防ぐ必要があると思います。
ところで、投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。これは、「全部の卵を一つのカゴに入れてしまうと、落としたときは全部が割れてしまうので、カゴをいくつかに分けておこう。」という趣旨で、分散の必要性を説いているのです。
分散には、「投資先の分散」と「時間の分散」があります。
投資先の分散ですが、国内で見ると、株式以外にも個人向け国債や信用力の高い企業が発行する社債などがあります。株式については、最初から手を広げ過ぎず、まずはなじみのある業種や企業から着目し、業績予想なども確認して投資対象にしてはいかがでしょうか。自分の場合で申し上げますと、出身の金融業や、当時付き合いのあった企業や業界などについて、現状分析を行った上で投資対象にする、ということです。
海外への投資という意味では、外国の政府や企業が発行する債券(外債)や外国企業が発行する株式(外国株式)があります。ただし、購入時や売却時に円換算を行う際に、為替相場次第で損失が発生する可能性(為替リスク)があるので、国内への投資に比べ、さらに注意が必要です。
次に、時間の分散ですが、投資はタイミングを分散させて行うことも重要です。一つの先への投資でも、一度に行うのではなく何度かに分けて行うと、購入価格が平準化され、高値で買ってしまうリスクが回避できるメリットがあります。
株式相場は、今後しばらく落ち着かない状況が続く可能性もありますが、私たち個人は、四半期毎に利益を上げなければいけない金融機関のディーラーではありません。あわてずに、じっくりと資産運用に取り組みましょう。
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