先日、某自治体の市民フォーラムであるNPO法人の代表と話をする機会がありました。市民フォーラムは、自治体に関する意見交換や情報発信を行う市民の活動の場という性格がありますが、代表によれば、最近の話題の一つに「増え続ける空き家」があり、行政も課題として頭を悩ませているということでした。
その数日後に話した別の知人は、親が亡くなり、空き家になった故郷の実家の取扱いについて、実家を共有で相続した弟と、意見が分かれ困っているとのことでした。
個人的に、「空き家問題」に接する機会が多かったので、今回は、空き家にしておくことの問題点などを紹介していきます。
そもそも、全国に空き家はどれくらいあるのでしょうか。
総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、2023年における全国の空き家率は13.8%で、1978年の7.6%から増加の一途をたどり過去最高を記録しました。また、家屋数でみても、2023年の空き家数は8,995千戸と過去最高で、1978年の2,679千戸から約3.4倍まで増加しています。
特に、空き家の中で、「売却用」でも「賃貸用」でも別荘などの「二次的住宅」でもない「その他の空き家」は、2023年で3,853千戸あり、空き家全体の42.8%を占めています。
売却用などと比較して、管理するモチベーションが上がりにくい「その他の空き家」は、今後も増え続けると予想されています。
次に、空き家としておくことの問題には、次のようなものがあります。
〇経年劣化によるもの
・空き家としての年月の経過とともに、外壁や水回りの損傷で、資産価値が下がります。
・ネズミ、害虫や悪臭発生の原因になるほか、景観や治安の悪化による近隣への迷惑が懸念されます。
・倒壊や外壁の落下で、隣家や歩行者に被害が及んだ場合は、損害賠償が請求されます。
〇費用の発生
・誰も住まない家屋でも管理コストが発生するほか、庭の整備や建物の修繕が必要です。
・空き家として放置した場合、固定資産税の負担が増加する可能性があります。
もちろん、空き家を保有している方の中には、このような問題を既に認識している方もいらっしゃることでしょう。なのに空き家が増え続けている原因の一つには、冒頭に紹介したご兄弟のようなケースがあるように思います。
私の知人である兄は、親と生活した思い出ある実家を売却することまで思い切れず、賃貸を希望しつつ、実家から遠く離れた首都圏で暮らしています。一方、実家の近隣で生活している弟さんは、賃貸後の管理が負担なのか、売却を希望しており、議論は平行線のようです。
このケースから学ぶことができるのは、親が考えを伝えないまま子供が実家を相続してしまうと、方針を決めることができず、結果として空き家として所有するしかないケースが出てくるということです。
子供世代が独立して、実家が空き家になる可能性がある場合には、事前に家族で相談しておくことが必要です。先ほどのケースもそうですが、このもめ事を孫の世代に持ち越すことは、解決までの労力が今の比ではなくなりますので、何とか決着をみるべきでしょう。
自治体によっては、相談窓口を設け、専門家や事業者の紹介を行う場合もありますし、空き家バンクに登録を行う方法などもありますので、必要に応じて検討してみましょう。
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