前回ブログの続きです。
前回は、「地方自治体(自治体)が提供している高齢者向けのサービス」というテーマで、
・日本における高齢者向けサービスは、社会保障制度にもとづくものと、それ以外のものに分けられること
・社会保障制度については、4つの柱のうち、「社会福祉」「公的扶助」「公衆衛生」に関しては、その多くを主に自治体自身が、「社会保険」に関しては、主に自治体から委託を受けた社会福祉協議会やNPO法人(特定非営利活動法人)などの民間が、それぞれ担っていること
・さらにその周辺には、民間が主体となって行うサービスがあること
など、全体的な構成を説明しました。
今回は、「地域ごとの取り組み」という視点も加え、「地域包括ケアシステム」を紹介したいと思います。
厚生労働省のホームページでは、地域包括ケアシステムを、高齢者が「重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」体制と定義しており、団塊世代が75歳以上になり、これらの需要が急増する2025年を目途に、構築が進められてきました。
これに関し、厚労省は「保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要」と、地域性の重視を自治体に求めています。
これにはどのような背景があるのでしょう。
かつて、高齢者の多くは、何らかの医療サービスを受けるため、病院で生涯を終えるケースが少なくありませんでしたが、現在では、公的医療保険制度改革の影響などで、手術後の長期入院ができなくなり、この結果、退院後の高齢者は自宅や高齢者住宅に入居し、医療と介護を受けながら暮らすことになりました。
また、認知症の高齢者が着実に増加しているなどの背景もあって、地域全体で高齢者を見守る必要性が、これまで以上に高まることとなりました。
これらの経緯から、冒頭に述べた高齢者向けサービスの全体的な役割分担が、地域包括ケアシステムに落とし込まれ、サービスが提供されることになったというわけです。
自治体にはそれぞれ高齢者向けサービスの担当課がありますが、サービスを実際に行うのは、担当課と密接につながって活動する、次の3つを代表とする組織や人々であることを、理解しておきましょう。
①地域包括支援センター
・地域包括ケアシステムの中心的な存在となる総合的な相談窓口。
・保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが、次の役割を担っています。
<介護予防>
・「要支援」認定者が「要介護」にならないためのプランの作成や指導
・その他介護予防の講習など
<権利擁護>
・高齢者の権利を守るための成年後見制度の利用支援など
<総合窓口>
・高齢者や家族からのさまざまな相談への対応
<ケアマネジメント支援>
・高齢者が包括的、継続的に介護や医療のサービスを受けることができるための支援
②民生委員
・民生委員法に基づき厚労相から任せられた、非常勤の地方公務員。
・地域住民からの相談や情報提供を通じ、住民と行政の橋渡しを行う。
③社会福祉協議会
・社会福祉法に基づき全国の都道府県、市区町村に設置されている民間団体で、ほとんどが社会福祉法人。
・業務は多岐にわたり、高齢者に関する自治体からの委託事業には次のようなものがある。
-福祉・保健サービスの提供
-地域包括支援センターの運営
-日常生活自立支援事業
-福祉施設の運営・管理
-各種助成金や貸付金の事業
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