“プラチナNISA”の行方に注目!

トランプ関税ショックの影響で、世界の株式市場は、このところ乱高下が続いています。テレビの情報番組では、新NISA(少額貯蓄非課税制度)がスタートした昨年から資産運用を始めた方々の不安げな様子が、しばしば紹介されています。

 

そのような中、岸田前首相が会長を務めている自民党の「資産運用立国議員連盟」が、昨日、石破首相を訪問し、資産運用立国を推進する提言を提出しました。

提言には、高齢者限定の「プラチナNISA」や、積立投資枠に限定して18歳未満も投資できる「こども支援NISA」の導入による「NISAの全世代化」や、iDeCo(個人型確定拠出年金)とDC(企業型確定拠出年金)を併用する場合の拠出限度額の合計額引き上げなどが盛り込まれています。

 

今回は、この中で、高齢者向けのプラチナNISAに着目します。プラチナNISAの特徴は、65歳以上など一定の年齢条件が設けられることと、NISAでは初めて「毎月分配型」の投資信託が投資対象に加えられることです。

では、どうして高齢者向けNISAに限定して、毎月分配型が加えられるのでしょうか。

 

そもそも「分配型」は、運用益や、運用益が少ない場合は元本も取り崩し、分配金として投資家へ払い出すしくみです。これに対し、現在NISAの対象になっている投資信託は、運用益を分配せずにすべて再投資に回す「無分配型」が基本で、分配型は、隔月や半年という「期間毎」に分配がある商品はあったものの、「毎月」発生するタイプはNISAの対象とされていませんでした。

 

資産運用で重要なことは、「長期・積立・分散」です。「長期」が重要といわれる理由は、長い時間をかけて資産運用を行うことで「複利効果」が期待できるからです。複利運用とは、一定期間運用して得られた収益を元本に加え、さらに一定期間運用を行う方法で、これを繰り返し続ける結果、「複利効果」の下で、元本は徐々に大きくなっていきます。したがって、資産形成を主目的とするNISAにおいては、毎月分配金が発生したり、場合によっては元本が減少したりする毎月分配型は、なじまないとされてきた経緯があるのです。

 

一方、高齢者においては年金が主な収入源であるため、元本が取り崩されるリスクがあっても、分配金を毎月受け取って生活費の一部にしたいというニーズがあったことから、今回の提言となったわけです。

 

毎月分配型には、複利効果が得られにくいというほかにも、毎月の決算に伴い発生する事務コストが反映されるため、信託報酬や手数料が高くなるというデメリットがあります。新たな制度の創設という機会を捉え、良好な商品性やルール作りが求められるため、今後も関心をもって注目していきたいと思います。

 

 

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