これまで2回にわたり、「ペアローン」の紹介をしてきました。
ペアローンは、一つの購入物件について、夫婦それぞれが住宅ローンの契約者となって、別々に住宅ローンを組むというタイプの住宅ローンです。
前々回は、そのメリットとして、1人だけが契約者である場合よりも借入可能額を増やすことができるため、購入物件の予算も増やせること、また、住宅ローン控除もそれぞれに適用を受けることができることを紹介しました。
次に、前回は、そのデメリットとして、共働き夫婦の収入をペアローンの返済に回しすぎると家計が硬直化し、子育て資金を追加したい場合などに対応できなくなること、また、離婚する場合は、購入物件の整理(売却、いずれかが継続居住など)に伴い、さまざまな対応が必要になることを紹介しました。
今回は、ペアローンが生みだした「ペアローン団信」に着目します。
そもそも、団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの重要な商品要素の一つで、
・保険契約者(保険料負担者):金融機関(住宅ローンの貸し手)
・被保険者:借入人(住宅ローンの借り手)
・保険金受取人:金融機関
という契約形態になっており、住宅ローンの借り手が死亡や高度障害になった場合、金融機関は住宅ローンの貸出額に相当する保険金を保険会社から受領し、住宅ローンの返済に充てることで、借り手のローン残高がゼロになるしくみです。
生命保険会社に支払われる保険料は金融機関が負担しますが、金融機関は、その保険料に相当する金額を住宅ローン金利に上乗せしているため、実質的には借り手が保険料を負担しています。
「夫が働いて、妻が専業主婦」というケースでは、住宅ローンの借り手である夫が死亡した場合、遺族となる妻に収入がなくローン返済が困難となるため、団信への加入は必要不可欠と考えられてきました。
では、共働きが前提となるペアローンの場合は、どのようになるのでしょうか。
これまでの団信の商品性では、契約者に万一のことがあった場合に完済されるのは、本人の債務だけですから、遺された配偶者は自分のローンを支払い続けることになります。しかし、これでは配偶者の生活が不安定になることは必至ですから、団信を取り扱う保険会社各社は、配偶者の債務についても免除される「ペアローン」を新たに開発したのです。
具体的に、金融機関のホームページを見てみましょう。
りそな銀行のペアローンにおけるペア団信には、夫婦いずれか一方が保険金の支払事由に該当した場合は、本人だけでなく、相手のローン残高もゼロになるとの説明があります。ただし、ペア団信を利用する場合、通常の団信を利用する場合より、ローン金利が0.15%上乗せされます。
フラット35においても、2024年10月に「ペア連生団信」が導入されました。連帯債務の夫婦のうち一人が死亡または所定の身体障状態になった場合は、以後の返済が不要になります。ローン金利は、通常の団信と比べて0.18%上乗せされます。
ペアローン団信は、保険料すなわち住宅ローン金利の上乗せによる返済額の増加がデメリット、という向きもありますが、高額な借入金額につながるペアローンのリスク軽減方法の一つという意味では、大きなメリットといえますので、費用対効果を確認した上で、活用を検討したいところです。
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