日経平均株価は、昨年末の12月27日に、5か月ぶりとなる4万円台への回復を果たしました。1月8日の終値は3万9,981円で、2025年も、株価は概ね4万円前後で推移しています。
ところで、東京証券取引所(東証)によれば、2024年に上場を廃止した企業は94社で、前年の61社から33社(54%)の増加となりました。これは、東証が大阪証券取引所と合併して現在の体制となった2013年以降で、最も多い企業数です。
この影響もあって、2024年末における上場企業数は、前年比1社減の3,842社となり、同じく2013年以降で、初の減少となりました。
新NISAがスタートして1年が経過し、株式投資のすそ野が広がりを見せている中、90社を超える上場会社の減少という事実には、後ろ向きの印象をもってしまいますが、これは一体、何を意味するのでしょう。
実は、上場企業の減少には、東証が上場企業に対して、企業価値を向上させる取り組み強化の要請を強めているという背景があります。そして、その効果が、徐々に表れつつあるのです。
東証はかねてから、海外投資家を強く意識しつつ、日本における株式市場の魅力を高めるため、さまざまな取り組みを続けています。
まず、2022年4月に、市場の区分を「市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ」から「プライム市場、スタンダード市場、グロース市場」に再編し、それぞれの区分についてコンセプトを明確化するとともに、上場基準を厳格化しました。
なお、この基準厳格化にあたり、東証は「経過措置」として、上場基準が未達である企業の上場を一時的に認めていますが、2025年3月以降にこの経過措置が順次終了し、上場維持基準が完全な義務となるため、株価低迷などで基準未達となる上場企業は、市場からの退場を余儀なくされることになるのです。
続いて2023年3月に、東証は上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みと、その進捗状況の定期的な開示を求めています。
さらに、2024年11月に、東証は、市場における現物株の取引時間を30分拡大させ、取引終了時刻を15時から15時30分まで、実に70年ぶりの延伸を実現しました。
この結果、一部の上場企業は、これまで売買時間終了後としていた決算発表時刻を、日中に前倒しすることで、投資家に対する「情報開示の積極性」アピールや、アナリスト対応におけるサービス向上につなげる取り組みを行うなど、東証が企図した効果も表れています。
昨年上場廃止となった企業の中には、前述のような東証の取り組みによる制約を嫌い、経営の自由度を高めるために、自ら敢えて市場から退出した企業も含まれている模様です。もちろんこれも、企業運営の一つの考え方。言い換えれば、東証の取り組みが、企業スタンスを問うている、ということなのかもしれません。
さて、2025年の株価予想をいくつか見てみると、「トランプリスク」といわれる大統領就任直後の政策転換や関税引上げ、日銀の追加利上げ、参議院選挙の不透明感などのマイナス要因で、前半は弱含み。一方で、春闘に始まる賃上げや、トランプリスクの消化などで後半は回復基調という意見が多く見られますが、みなさんはどのように予測されますか。
株式投資の際には、情報開示に関する企業スタンスを、判断要素の一つに加えてみてもいいかもしれません。
資産運用に関するアドバイスは
あざみ野、たまプラーザの独立系ファイナンシャルプランナー
ライフ&マネーソムリエ Office-Tak
代表 尾﨑琢磨
まで、お気軽にお問い合わせください。