前回ブログでは、「夫婦が老後に必要な経済的備え」に関するアンケート結果として、
・「月15~20万円の自己資金が必要」というのが、一般的な感覚であること、
・半数以上の世帯が、常に老後資金への不安を覚えながら生活していること、
・約3人に一人が、老後資金の準備に期待できる手段はない、と考えていること
をご紹介しました。
それでは、60代に直面するもう一つの問題、自身や配偶者の介護については、どのように考えているでしょうか。
前回に続き、公益財団法人生命保険文化センターが3年ごとに実施している「生命保険に関する全国実態調査」の結果(2021年、全国の一般世帯4,000対象に実施、世帯主の平均年齢57.3歳)をご紹介します。
〇介護に必要な資金額(介護保険以外)はいくらだと思いますか?
調査では、世帯主または配偶者を対象に、公的介護保険の範囲外の費用(リフォームや介護用品購入などの初期費用や月々の費用)について、初期費用、月々の費用と必要期間について個々に調査を行い、必要資金の総額を集計しています。
・1,000万円未満:15.2%
・1,000万円~3,000万円未満:38.9%
・3,000万円~5,000万円未満:12.4%
・5,000万円以上:14.2%
・不明:19.4%
・平均:3,311万円
平均額は、3年前の前回調査3,167万円から144万円増加した3,311万円。過去5回において、平均はいずれも3,000万円を超えており、この水準が一般的な感覚であるといえます。また、想定介護期間の平均は、181.2か月(15年1か月)となりました。次に、資金の準備状況についての質問です。
〇介護生活を賄うための現在の資金準備の状況は?
・大丈夫:4.1%
・たぶん大丈夫:17.0%
・少し不安:36.0%
・非常に不安:39.7%
・不明:3.3%
資金準備については、「大丈夫」グループが21.1%、「不安」グループは75.7%と、約4人に3人が不安を感じています。「不安」グループを年代別でみると、30代から50代までが80%を超えており、特に、45~49歳が85.8%と最も高くなっています。子育てに終わりが見え始めた頃、介護についての経済的な不安が増加してくるということでしょうか。
また、詳細は省略しますが、資金準備を行う上で期待できる手段についての調査結果(複数回答あり)をみると、預貯金・貸付信託・金銭信託が35.7%、生命保険が15.5%。この二つが最も多く、その一方で「なし」も32.9%という状況です。
〇介護期間はどれくらいですか?
では、実際の介護期間はどのくらいなのでしょうか。調査では、過去3年間に、高齢で要介護状態(寝たきりや認知症など)になった家族や親族の介護経験がある方を対象に、介護を始めてからの期間(介護中の場合は経過期間)を調査しています。
・1年未満:10.0%
・1年~3年未満:22.8%
・3年~4年未満:15.1%
・4年~10年未満:31.5%
・10年以上:17.6%
・不明3.0%
・平均:61.1か月
調査結果から、「高齢者の介護期間は、概ね5年」という状況が読み取れます。ただし、ここには現在介護中の方が一定数含まれていることを考慮する必要があります。ちなみに、3年前の前回調査(平均54.5か月)からは、6.6か月長期化しています。
介護に必要な時間と資金の見込は、ざっくり、「15年で3,300万円」。ただ、実際の介護期間は5年なので、極めて保守的な見込ということでした。もう一つの見込である3,300万円をどう考えるか、その上で資金準備をどう行うか、みなさん自身で、ご家族で、専門家も含めて考えてみてはいかがでしょうか。
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