住宅ローンの「金利見直しルール」を確認しておきましょう

日本銀行は、73031日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を0.15%引上げ、年0.25%としました。

 

これを受け、金融機関は預金金利を引上げ、三菱UFJ銀行においては、92日から、普通預金の金利を0.02%から5倍の0.1%に、1年物の定期預金金利も0.025%から5倍の0.125%に、それぞれ引上げることを決めました。他の金融機関も、預金流失を防ぐために同水準まで引上げる見通しで、「金利のある世界」が本格化してきました。

 

政策金利の引上げは、金融機関の貸出金利にも影響を及ぼしています。

三菱UFJ銀行は、92日から、優良企業向け短期貸出の基準金利である「短期プライムレート(短プラ)」を0.15%引上げ、1.625%とすることを決めました。他のメガバンクもこれに追随したほか、ネット系の住信SBIネット銀行も、短プラを10月から0.15%引上げ1.925%とする予定です。

それでは、家計への影響が大きい住宅ローン金利には、どのような影響があるのでしょうか。現在、住宅ローンの中で最も利用が多い「変動金利型」では、三菱UFJ銀行をはじめ多くの金融機関が、短プラに基づいて基準金利(店頭表示金利)を定め、これに個人の信用力に応じた金利優遇などを行った上で、適用金利を決めています。

したがって、短プラの上昇は、住宅ローン金利の上昇につながり、家計負担の増加につながる可能性があります。

 

変動金利型住宅ローンの適用金利や返済額の見直し方法は、金融機関によって異なりますが、具体的な内容は住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約証書)に詳細に規定されています。

「契約書など、借入れしてから一度も見る機会がなかった」という方がほとんどでしょうが、こういう機会ですので、念のために内容を確認しておきましょう。

 

確認したい事項は、次の①~③です。お読みいただくとお分かりになると思いますが、「金利が上昇しても、ただちに返済額が増加するとは限らない」というのが、一般的な仕組みです。

①借入利率の「基準金利」

「短期プライムレート」を基準金利としている金融機関が一般的ですが、市場金利の「TIBOR」や「独自に定める金利」としているところもあります。「独自に定める金利」の場合、今回のような金融環境の急変だけでなく、金融機関独自の営業スタンスで一方的に変更される可能性も否めないので、注意が必要です。

②借入利率の「見直し基準日」と「変更日」

4/110/1を基準に見直し、7月と翌年1月の返済分から変更」など、年に2回設定しているのが一般的です。

③借入利率の変更に伴う「返済額の変更ルール」

返済額の急増による家計への影響を防ぐため「返済額は5年間変更せず、増加する場合でも、最大で従来金額の125%まで」というルールが一般的です。ただし、金利の大幅引上げに伴い利息が増加して払い切れなくなると、「未払利息」が発生する可能性があります。そのため、ネット銀行の中には、敢えて当該ルールを採用しないところも出て来ていますが、その場合は、返済額が大幅に増加する可能性が否めないので、十分注意が必要です。

 

まずは、ご自身のローン契約書で、上記①~③の内容を確認しておき、その上で、現在利用している金融機関の貸出動向を注視するようにしましょう。そして、この先、返済額が大幅に増加する懸念がある場合には、「借り換え」や「繰り上げ返済」などを検討しましょう。

 

 

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ライフ&マネーソムリエ Office-Tak(オフィスタク)

代表 尾﨑琢磨

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