保障内容が拡大!住宅ローン団信

りそな銀行と埼玉りそな銀行が、20247月から、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)の保障金額の上限を、2億円から3億円に引上げました。

団信の保障金額の上限は、大手金融機関ではこれまで2億円が一般的でしたが、これを大きく上回ることになりました。都市部におけるタワーマンションなど、住宅価格の高騰に伴う住宅ローンの借入額増加に対応するもので、金融機関の営業戦略上からも、画期的といえます。

 

そもそも団信とは、住宅ローンを借りている方(借入人)が、返済の途中で死亡や高度障害状態になったときに、生命保険会社が銀行に、住宅ローンの残高に相当する金額を支払う仕組みの保険です。借入人は、団信に加入することで、自分に万一のことがあっても、遺族や家族に住宅ローンの債務が残らずに済むのです。また、銀行も、不良債権の発生を防ぐことができます。

 

当事者の契約関係は、次のようになります。

〇住宅ローンの借入人:団信の「被保険者」

〇住宅ローンの貸出金融機関:団信の「契約者・保険金受取人」

〇生命保険会社:団信の「保険者」

団信の契約者である貸出金融機関は、生命保険会社に保険料を支払う必要がありますが、通常は、その相当額を住宅ローンの金利に上乗せしており、住宅ローンの借入人が実質的に保険料を負担しているといえます。

 

このように、住宅ローンの仕組み上、なくてはならない団信は、今では住宅ローンの商品差別化における重要な要素となっています。

 

住宅ローンにおいては、日銀のゼロ金利政策により超低金利が続いた上、貸出金融機関の激しい金利引下げ競争もあり、金利面で差がつきにくくなりました。そこで、貸出金融機関は生命保険会社と協働で、団信の保障内容を拡大することで、商品差別化を進めたのです。

団信の保障対象は、基本的には「死亡・高度障害」ですが、これが徐々に拡充され、「がん・脳卒中・急性心筋梗塞」を加えた「3大疾病保障付」のほか、「高血圧疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変」も加えた「7大疾病保障付」、「慢性膵炎」も加えた「8大疾病保障付」などが現われ、最終的には「全疾病保障付」なども登場しています。

 

団信の本来目的である「万一のための保障」の、「万一」が広くなるのはウエルカムですが、引き換えにローン金利が高くなったり、疾病の認定条件が金融機関毎に異なったりするので、比較の際には十分な注意が必要です。

ちなみに、冒頭で紹介したりそな銀行の「団信革命」は、金利が0.25%上乗せで、保障範囲は「3大疾病+病気・ケガによる16ケース+所定の要介護状態」という商品設計です。

 

住宅ローンを比較検討する際の優先順位は人それぞれですが、まずは「借入人が健常であるという前提」で金利や返済の利便性などを比較し、次に「借入人が万一の場合の前提」として団信の保障内容で比較する、というアプローチがお勧めです。

団信は、あくまでも「返済中のリスクを減らす機能の一つ」であることを理解し、適切に住宅ローンを比較検討していきましょう。

 

 

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代表 尾﨑琢磨

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