住宅金融支援機構(「機構」)は、本日、2024年度のフラット35取扱実績を公表しました。
これによると、2024年度の申込件数は前年度比99.2%の40,442件、融資実行件数は前年度比84.3%の27,918件と、いずれも2023年度実績を下回りました。
ただし、申込件数の前年同期比を四半期毎でみると次の推移となり、第3四半期から回復基調に転じていることが分かります。
第1四半期(2024年4~6月):85.1%
第2四半期(2024年7~9月):89.4%
第3四半期(2024年10~12月):112.3%
第4四半期(2025年1~3月):116.8%
住宅ローン金利は長い間史上最低水準が続き、利用者の大半が変動金利を選択してきた結果、全期間固定金利のフラット35は、ここ数年利用者の減少が続いてきました。
しかし、昨年3月に日銀がマイナス金利政策を解除したのに続き、8月に追加利上げをしたため、徐々に固定金利への関心が高まり、フラット35の利用者も、10月以降は前年を上回る水準に回復したというわけです。
昨日発表された5月のフラット35融資金利は1.82%*で、前月から0.12%低下したものの、0.5%~0.9%台のメガバンク変動金利よりも1%程度高い水準です。
ただし、フラット35には次のような金利引下げメニューがあり、「借入人」や「住宅」がそれぞれ一定の条件を満たすことで所定のポイント数が付与され、ポイント数に応じて金利が一定期間引下げられるしくみです。金利引下げは「1ポイント=当初5年間△0.25%」で、ポイントが増えるほど金利引下げ幅が拡大します(具体例は後述)。また、メニュー毎に付与されるポイントは他メニューと合算可能で、最終的にはこれらの合計ポイント数で金利引下げの条件が決まります。
*融資率9割以下・団信付きの場合で、最も多くの取扱金融機関が提示している金利水準。
【フラット35の金利引下げメニューとポイント付与の対象】
〇フラット35子育てプラス:家族構成に応じたポイント
〇フラット35S:住宅性能に応じたポイント
〇フラット35維持保全型:保全・管理方法に応じたポイント
〇フラット35地域連携型・地方移住支援型:自治体の支援に基づくポイント
〇フラット35中古プラス:劣化状況に基づくポイント(中古限定)
この金利引下げ制度の利用状況は、機構が3月に発表した「フラット35子育てプラスの利用状況について」の中で、詳しく紹介されています。
そもそも「フラット35子育てプラス」(「子育てプラス」)は、子育て世帯と若年夫婦世帯を対象に、全国一律でこどもの人数等に応じて次のようにポイント換算を行い、金利を引下げる制度です。
こども一人の家族*…1ポイント(当初5年間△0.25%)
こども二人の家族…2ポイント(当初5年間△0.5%)
こども三人の家族…3ポイント(当初5年間△0.75%)
こども四人の家族…4ポイント(当初5年間△1.0%)
こども五人の家族…5ポイント(当初5年間△1.0%、6~10年△0.25%)
(*申込時に、いずれかが40歳未満である若年夫婦世帯を含む)
発表によれば、子育てプラスがスタートした2024年2月13日~2025年2月末のフラット35融資実績29,996件のうち、約63%の18,830件が子育てプラスを利用しています。また、当該利用者が子育てプラスで適用を受けたポイント数は、次のとおりです。
1ポイント:48.8%
2ポイント:34.3%
3ポイント以上:16.9%
ちなみに平均は1.7ポイントで、「当初5年間△0.5%」の2ポイントには届かない結果となりました。
ただし、子育てプラスの利用者が、他の金利引下げメニューで適用を受けたポイントも合算した合計ポイント数は、次のとおりです。
1ポイント6.0%
2ポイント15.0%
3ポイント25.0%
4ポイント24.9%
5ポイント17.4%
6ポイント8.1%
7ポイント2.6%
8ポイント以上0.9%
平均は3.7ポイントで、「当初5年間△1.0%」の4ポイントに届かないものの、4ポイント以上を獲得した利用者の割合は53.9%であり、約半数が「当初5年間△1.0%」の適用を受けていることが分かります。
前述した5月の融資金利に4ポイントの適用があると、当初5年間の金利は固定で0.82%となり、この期間に限るとメガバンクの変動金利と同水準になります。
やや複雑なフラット35の金利優遇制度ですが、これから住宅ローンのご検討をされる方、特に子育て世帯の方は、ご自身のケースでの獲得ポイントをぜひご確認ください。
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