変動ローンのリスク、今こそ正確な理解が必要です!(2)

前回ブログの続きです。

 

「今度、住宅ローンの金利が上がるのですが、すぐに借り換えた方がいいでしょうか?」とおっしゃるお客様に、「一般的な住宅ローンなら、すぐに返済額が増えることはありません」とお伝えしたところ、「すぐに増えないのですか!?」とたいへん驚かれた、というお話を紹介しました。

 

変動金利型住宅ローン(変動ローン)を提供している金融機関の多くは、貸出条件に「5年・125%ルール」を設けています。適用金利がどれだけ上昇しても、

・毎月返済額は5年間変わらない

5年後に毎月返済額が増加する場合でも、それまでの125%を超えない

というルールです。

なので、変動ローンの適用金利引上げの際に、まず取るべき行動は、ご自身のローン契約書に「5年・125%ルール」が規定されているかを確認することです。これがあれば、返済額が実際に増えるまでに、あわてず対策が検討できるからです。

 

この「5年・125%ルール」はいいことばかりではありません。なぜなら、「どれほど金利が上がっても、返済額に上限がある」ということは、「金利引上げで増やしきれない返済分は後ろに先送りされ、最後的には、最終返済日にまとめて返済しなければならない」可能性があるということになるからです。

なので、変動ローンのリスクは「金利が上がると、返済できなくなるリスク」というより、「金利が上がると、最後に返済しきれなくなるリスク」というのが、正しい理解なのではないかと思います。

 

では、6年目に返済額を増やさず、後ろにも先送りしないためには、どうすればいいのでしょう。それは、先送りになる部分に相当する元金を減らす、つまり「繰り上げ返済」をすることです。

適用金利の引上げ水準や、返済原資の有無により、実現できない場合もありますが、考え方をご紹介します。

変動ローンを、当初5,000万円・期間35年・適用金利1%で借り入れたとしましょう。毎月返済額は141,142円です。5年が経過して、ローン残高は4,388万円まで減少しています。ここで適用金利が2.5%に引き上げられると、毎月返済額は173,379円(当初金額の122.8%)まで増加してしまいます。そこで、このタイミングで816万円の繰り上げ返済を行い、ローン残高を3,572万円まで圧縮して毎月返済額を再計算すると、従来と同じ141,142円なります。

 

変動ローンは、金利上昇時に激変緩和措置が講じられているとはいうものの、私たちが金利水準をコントロールすることはできません。その代わり、繰り上げ返済の活用を通じ、ローン残高をコントロールできる、ということを理解しておきましょう。

 

 

住宅ローンに関するアドバイスは

あざみ野、たまプラーザの独立系ファイナンシャルプランナー

ライフ&マネーソムリエ Office-Tak

代表 尾﨑琢磨

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