変動ローンの金利上昇、返済額が増えるのは、しばらく先のこと

前回ブログの続きです。

 

10月から、大手銀行*で変動金利型住宅ローン(変動ローン)の基準金利が、0.15%引上げられました。

その結果、変動ローン利用者(既存利用者)向けの適用金利が0.15%引上げられたこと、新たな変動ローン利用者(新規利用者)については、信用力が最も高い新規利用者に適用する最優遇金利を、引上げる銀行と据え置く銀行に分かれたことなどを、前回は詳しく紹介しました。今回は、既存利用者が実際に負担する返済額への影響をみていきます。

 

まず知っておきたいのは、大手銀行の変動ローンは、適用金利の「見直し基準日」と「変更日」がローン契約書に規定されており、「4/110/1を基準に見直し、それぞれ3か月後の7月と翌年1月の返済分から変更する」など、見直しの機会が年2回設けられているのが一般的、ということです。この例の場合、今回の10月の基準金利引上げは、20251月の返済分から反映されることになります。

 

では、今回の金利上昇が毎月の返済額に及ぼす影響は、適用金利0.5%の場合、1.0%の場合、1.5%の場合で、それぞれどのようになるのでしょう。

借入金額5,000万円、借入期間35年として、今回の0.15%引上げの影響と、日銀の追加利上げスタンスから、今後さらに0.25%の引上げがあるものとして、その影響も検証します。**

 

〇適用金利0.5%:129,792

0.65%:133,134円(3,342円増加)

0.9%:138,824円(当初から9,032円増加)

〇適用金利1.0%141,142

1.15%:144,665円(3,523円増加)

1.4%:150,654円(当初から9,512円増加)

〇適用金利1.5%:153,092

1.65%:156,792円(3,700円増加)

1.9%:163,076円(当初から9,984円増加)

 

適用金利が1.0%の場合でみると、毎月返済額は、0.15%の上昇で約3,500円、さらに0.25%上昇すると当初から約9,500円の増加となる見込みです。

 

だとすると、「来年1月から、毎月3,500円の支出増加を家計に織り込まないといけない」となるのですが、それはタイトルのとおり「しばらく先のこと」。

なぜなら、大手銀行の変動ローンは、金利の急上昇が家計に及ぼす影響を踏まえ、「返済額は5年間変更せず、返済額が増加する場合は、従来の額の125%が上限」というのが一般的だからです。住宅ローンに関しては、金利上昇の影響が頻繁に話題となりますが、毎月の支出について考える際には、この一番大事なルールを押さえておく必要があります。

「激変緩和措置」とも言えるこのルールには、「将来金利が上がりすぎてしまうと、ローンの返済期限までに、すべての利息を払い終えられない」という、将来のリスクがあるのですが、現在は金利が上昇しはじめたばかりなので、それはまた別の機会に紹介します。

 

ここまで、大手銀行の一般的な変動ローンを例に説明してきましたが、変動ローンを利用している方は必ず、適用金利と返済額の見直しに関するルールがどのようになっているか、ローン契約書で確認しておきましょう。その上で、一般的な変動ローンであれば、返済開始から5年目に返済額が増加する可能性があることを頭の片隅におきつつ、金融機関の金利動向をウォッチしていきましょう。その上で、必要に応じて専門家にも相談しつつ、手元に余裕資金があれば繰り上げ返済を、メリットがあれば借り換えを、検討していきましょう。

 

*:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行

**:住宅金融支援機構ホームページ資金計画シミュレーションを利用

 

 

住宅ローンに関するアドバイスは

横浜市青葉区(あざみ野、たまプラーザ)の独立系ファイナンシャルプランナー

ライフ&マネーソムリエ Office-Tak(オフィスタク)

代表 尾﨑琢磨

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