変動型住宅ローン、金利上昇への対策を整理してみました(2)

前回ブログの続きです。

 

日銀が1月に実施した利上げを受け、多くの金融機関が、変動金利型住宅ローン(「変動ローン」)の基準金利を4月に引き上げました。

 

そこで前回は、住宅ローンを返済中のみなさまに知っていただきたいこととして、

・多くの金融機関の変動ローンには「5年・125%ルール」が設けられている

・その場合、毎月返済額は5年間変わらず

・適用金利の上昇で5年後に返済額が増加しても、それまでの125%を超えないので

・変動ローンの適用金利が引き上げられても、返済額はすぐに増えない

ことをご紹介した上で、ご自身の住宅ローン契約にこのルールが設けられているか、今すぐ契約書で確認してみましょう、というお話をしました。

 

そこで今回は、みなさまには既に、毎月返済額が引き上げられる時期を把握いただいたという前提で、今後取り得る対策としての選択肢を2点ご紹介します。

 

一つ目は「借換え」です。

 

借換えにあたっては、既存の変動ローンを返済するため新たに借り入れる住宅ローンを、変動ローンにするか固定ローンにするかについての検討が必要です。

 

今回の金利引上げで、既存変動ローンの適用金利が1%前後になるケースでは、より低利な変動ローンに借り換えることでメリットが生じます。

具体的には、2010年に5千万円を0.75%で35年借り入れ、現在のローン残高が3千万円の場合、適用金利が1%になるところで0.5%の変動ローンに借り換えると、毎月返済額は6千円程度、総返済額は2百万円程度減少します。ただし、借換え後も金利変動リスクは残ります。

 

一方、固定ローンに借り換えた場合には、金利上昇リスクが解消し、住宅ローンの返済額も確定するメリットが生じます。

ただし、固定ローンの金利水準は変動ローンのそれよりも高いという点で、変動金利の今後の上昇の可能性について着目すると、本日現在、トランプ関税が世界に与える影響などから、日銀の利上げペースがこれまでよりも不透明になったと思われることから、既存ローンの毎月返済額の増加時期がまだ先ということであれば、もう少し様子見という判断もあるかもしれません。

 

また、金利タイプを問わず、借換えを行う際の注意点として、諸費用がかかること、申込や契約の手続きがもう一度必要なことが挙げられます。

諸費用には、新たに借り入れるローンに関しては、金融機関に支払う事務手数料、保証料、ローン契約書に貼付する収入印紙代のほか、不動産に抵当権を設定するための登録免許税、司法書士手数料が必要です。また、既存ローンを全額繰上返済することになるため、借入時に金融機関へ一括前払した保証料の返金がある一方で、繰上返済手数料を支払う必要があります。

申込時の金融機関における審査では、既存ローンの返済状況も審査項目となります。「過去1年間」など所定の期間内にわずかでも返済遅延があると、審査が通らないケースがあるので注意が必要です。

 

二つ目は「一部繰上返済」です。

 

借換えのように多額の諸費用もかからず、今ではネットで気軽に取り組めるため、コツコツと何度も行っている方も多いようです。

繰上返済を行うには、借入期間を短くする「期間短縮型」か、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」のいずれかを選択する必要があります。

 

一般的には、「トータルで総返済額を減らしたい」なら期間短縮型が有効ですが、今回のような毎月返済額の増加対策としては、返済額軽減型が有効です。

ただし、手元資金のすべてをローン返済に回さず、例えば、お子さまの教育費に充てる、たまたま日経平均が下がりに下がっている今であれば資産運用に回す、などの考え方もありますので、有効な対策を家族で、必要な場合にはファイナンシャルプランナーも交えて検討してもいいのではないでしょうか。

 

 

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