認知症の高齢者などに代わって財産の管理を行う成年後見人。この成年後見制度をもっと利用しやすくするため、法務大臣の諮問機関である「法制審議会」が見直しの検討を行っていますが、6月10日に中間試案をまとめ、同審議会のホームページに「中間試案のたたき台」として公表しています。
そもそも成年後見制度は、弁護士や社会福祉士といった第三者が本人の後見人となって、本人に代わって財産などを管理するしくみです。
令和6年厚生労働白書によれば、2023年末における成年後見制度の利用者数*は249,484人。法務省は、高齢化の伸展などで、制度を必要とする人はさらに多くなるとみていますが、利用者数は伸び悩んでいます。その背景には制度の使いにくさがあるとの指摘があったため、去年2月に同審議会に見直しが諮問され、検討が行われてきました。
見直しの主な論点となっているのが、「利用期限の取扱い」です。現行制度では、いったん制度を利用し始めると、原則として、成年後見人は被後見人が亡くなるまで辞任することができません。不動産の売却などの専門知識が必要な資産処分が解決した後も、家族以外の第三者が本人の資産管理を行い続けることなどへの抵抗感が、制度利用を躊躇する要因になっているという見方があるのです。
中間試案ではこれを改め、財産管理などの法的な支援が終わり、必要がなくなったときには途中で利用をやめられるようにする案が盛り込まれています。
その手続や利用期間を定める方法については、被後見人への支援状況について、後見人に定期的な報告を義務づけ、必要がなくなったときに利用を終了させる案や、利用の開始段階で裁判所の認定を受け、あらかじめ使う期間を定めておく案などが、試案に併記されています。
また、成年後見制度が利用者本位の制度となるよう、被後見人やその家族が、後見人と合わないと感じた場合などに、交代できるしくみを設ける案なども示されています。
私は、個人的な事情で、過去に成年後見人を受任した経験がありますが、財産管理と適切な資産処分を遺漏なく行うことに、大きな責任を感じた記憶があります。したがって、成年後見人を依頼する側も、依頼される側も、期限を区切った中で行うという考え方は合理的に感じます。
今後は、6月下旬にもパブリックコメント(意見公募)が行われ、2026年度の法改正を目指す予定とのこと。今後の成り行きに注目していきたいと思います。
*:成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人の合計
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