東京証券取引所(東証)では、今日から次のとおり、現物株の取引終了時刻が30分延伸され、この結果、取引時間が30分拡大することになりました。
〇11/1(金)まで・・・前場9:00~11:30、後場12:30~15:00
〇11/5(火)から・・・前場9:00~11:30、後場12:30~15:30
取引終了時刻の延伸は、14:00から15:00になった1954年以来、実に70年ぶりのことで、証券会社各社はホームページなどで、投資家に積極的な周知を行っています。
関連報道によると、東証では、株式売買取引を促進する観点から、これまでも取引終了時刻の延伸に関する議論が何度かなされていたようですが、証券会社や資産運用会社が取引終了後に行う様々な「後工程」の業務が後ろ倒しになってしまうなどの事情から、実現に至らなかったようです。
そして、今回の延伸実現は、2020年10月1日に株式売買システムで発生した障害により、株式全銘柄の売買が終日ストップした事態について対策が検討される中、取引時間の拡大がもたらす売買機会の更なる拡大を目指す市場関係者の共通利益の下で実現した結果であり、懸案だった後工程の業務についても、システムによる自動化や、書式統一などの効率化に業界全体で取り組んだ結果、阻害要因が解消されるに至った、と報道されています。
東証のホームページでも、今回の延伸が大きくPRされていますが、今回の延伸は、株式売買システムの更改に合わせて実施されると紹介されています。
また、今回の延伸に合わせ、終値を決めるための「クロージング・オークション」という時間帯が、15:25~15:30に新たに設けられることも紹介されています。
具体的には、取引終了間際の売買が増加傾向だったことから、この5分間は株価を動かさず、取引開始前の寄り付きと同様に、注文受付状況(売買気配)が配信されるだけとし、取引終了時刻の15:30に大引けの板寄せが行われて終値が決まる、というながれに変更されます。
さて、今回の取引終了時刻延伸は、わたしたちにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
まず、当たり前の話ですが、取引終了時刻が延びることで、売買できるタイミングがこれまでより長くなりますから、取引の機会が増加します。
また、グローバルな視点でみると、日本よりも時刻が遅いアジアやヨーロッパを発信源とする取引材料が、当日の東京市場での取引に反映できる可能性が高まります。さらに、海外の投資家が東京市場によりアプローチしやすくなるなど、東京市場の更なる活性化が期待されるところです。
それから、今回新たに導入されるクロージング・オークションがどのような影響を与えるかについても、今後注視していく必要があります。
次に、上場企業サイドからの視点ですが、今回の取引終了時刻延伸は、企業が情報開示を行うタイミングに影響を及ぼす可能性があります。
現在は、多くの企業が、取引時間終了の15:00以後に決算などの企業情報を開示していますが、例えば15時を発表時刻としている企業がどのような対応を取るか、ということです。マスコミの報道をみると、情報開示時刻を15:30以後に遅らせる予定の企業が多い、との印象を受けますが、実際はどのようになるのでしょうか。
今回は、東証における取引終了時刻の延伸について、その背景や、変更となるポイントをご紹介しましたが、取引時間の拡大を前向きにとらえ、そのメリットを享受するとともに、日常の投資活動に生かしていきましょう。
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あざみ野、たまプラーザの独立系ファイナンシャルプランナー
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