先日、お客さまから、「私がいま保有している財産で、老後を賄うことができますか」という質問を受けました。「突然気になり始めて、手はじめに家計簿をつけようと何度もトライしたけど長続きせず、相談に来てみました」ということでした。
このお客さまは、ご自身の収支と資産状況を概算で把握していらっしゃいましたので、それをもとにキャッシュフロー表を作成し、お客さまにはこの先の年間収支と資産残高の推移をお示しするとともに、年間収支改善や資産運用に関するアドバイスを行いました。
みなさんは、ご自身の老後生活に、どれくらいの資金が必要とお考えですか?
公益財団法人生命保険文化センターが3年ごとに実施している「生命保険に関する全国実態調査」で、「夫婦が老後生活に必要な経済的備え」に関するアンケートを実施していますので、その結果(2021年、全国の一般世帯4,000対象に実施、世帯主の平均年齢57.3歳)をご紹介します。
〇夫婦が老後生活に必要な資金月額(公的年金以外)はいくらだと思いますか?
(調査では、5万円刻みで選択回答させていますが、ここでは便宜上10万円単位にまとめています)
①世帯主が60歳~64歳
・10万円未満:4.3%
・10万円~20万円未満:30.9%
・20万円~30万円未満:34.4%
・30万円以上:19.7%
・不明:10.6%
・平均:20.2万円(年間242.4万円)
・最多回答:20~25万円(28.7%)
②世帯主が65歳以上
・10万円未満:12.4%
・10万円~20万円未満:36.7%
・20万円~30万円未満:22.7%
・30万円以上:10.2%
・不明:18.1%
・平均:16.1万円(年間193.2万円)
・最多回答:10~15万円(25.8%)
3年前の前回調査結果も同様で、「月15~20万円の自己資金が必要」というのが、一般的な感覚です。次に、資金の準備状況についての質問です。
〇老後の生活資金を賄うための現在の資金準備の状況は?
・大丈夫:5.8%
・たぶん大丈夫:23.0%
・少し不安:37.2%
・非常に不安:31.4%
・不明:2.8%
〇「不安」の年代別割合
・29歳以下:70.2%
・30~34歳:79.5%
・35~39歳:81.4%
・40~44歳:81.1%(以後は、90歳以上:34.8%まで、段階的に減少)
資金準備については、「大丈夫」グループが28.8%、「不安」グループは68.6%と、約3人に2人が不安を覚えています。また、「不安グループ」が最も多い年齢層は30代後半ですが、これは子供が生まれ家族が増える時期であることと無関係ではないように感じます。ちなみに「不安グループ」が50%を切るのは、ようやく80~84歳(48.8%)になってからなので、半数以上の世帯は、常に老後への不安を覚えながら生活しているといえます。最後に、準備のための有効手段に関する質問です。
〇準備に期待できる手段は?(複数回答、カッコ内前回比)
・預貯金、貸付信託、金銭信託:41.2%(△1.5%)
・生命保険:22.6%(+0.8%)
・個人年金保険:17.7%(+2.5%)
・不動産:13.4%(△0.9%)
・有価証券:12.7%(+0.9%)
・NISA(小額投資非課税制度(つみたてNISA含む)):8.6%(前回ゼロ)
・iDeCo(個人型確定拠出年金):4.0%(前回ゼロ)
・損保(年金払積立傷害保険):2.3%(△0.1%)
・その他、不明:7.5%(△2.9%)
・期待しているものはない:29.4%(+1.1%)
約3人に一人が「期待しているものはない」と回答している一方、10%弱がNISAを、4%がiDeCoを挙げています。新NISAが好調にスタートした結果が反映される次回(2024年)の調査結果において、これらの層がどのように変化するか、注目されます。
みなさんは、これらの調査結果について、どのような感想をおもちになりますか?ひるがえって、みなさんご自身の場合はどのような状況か、一度確認してみることをおすすめします。
ところで、60代になると自分の老後がスタートするわけですが、同時に親の介護問題に直面するかもしれません。これらの費用がどれくらい必要と考えられているかについて、次回、同じ調査結果から見てみたいと思います。
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