身近になった相続税から終活を考える

前回のブログで、「終活のスタートとして、まずは郵便物の整理からはじめ、資産の生前整理につなげていきましょう」と、みなさまにおすすめしたところです。

あらかじめこのように作業しておくと、資産負債のリストを比較的容易に作成することができます。これは、相続税についての対策を検討する必要が生じたときの備えにもなります。

 

ところで、相続税とは、そもそもいったいどのような税金なのでしょう。一言でいえば、「相続などで財産を取得した者に課される税」ということでしょうか。基本的考え方として、「すべての個人は経済的に機会均等であるべき」との社会経済政策的な見地から、相続税を「巨額の財産を相続した者に課税する」こととしており、すべての相続人を対象に課税する、としているわけではありません。

 

それでは、現在どれくらいの人が、相続税の課税対象となっているのでしょう。

国税庁*によると、1年間に発生した死亡者のうち、遺産が相続税の課税対象となった方の割合は、2014年は4.4%の56,239人でしたが、翌2015年には8.0%の103,043人に大きく増加し、以後も微増を継続して、2022年は9.6%の150,858人と、約10人に1人の割合まですそ野が広がり、相続税は身近な税金となりました。

 

対象が増加した原因は、2015年に実施された「相続税における基礎控除額の引下げ」です。相続税は、死亡者の遺産総額から基礎控除額を差し引いた部分に課税されます。言い換えると、死亡者の遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税が課税されることはありません。

この基礎控除額の計算方法が次のように改定され、2015年から引下げられました。

<基礎控除額の例>法定相続人:配偶者・こども二人

・変更前:8,000万円(=5,000万円1,000万円×3人(法定相続人の数))

・変更後:4,800万円(=3,000万円600万円×3人)

したがって、この改定により基礎控除額の範囲から外れてしまった遺産総額8,000万円~4,800万円の方が、新たに相続税の対象となり、すそ野が広がったというわけです。

 

まずは、みなさまの親御さまの財産が、基礎控除額と比べて多いか否かを、大まかに考察してみましょう。次に、親御さまが思い描く今後の生き方を踏まえ、その財産をどうしていくべきか、親御さまを含めてご家族で相談してみましょう。相続税が発生しない見込であっても、この機会に一度、ご家族で相談してみることをおすすめします。

次に、親御さまの次世代であるみなさまを当事者として、相続についてイメージしてみましょう。高齢化社会の今日、「90歳代の親と60歳代の子ども」といった親子が増えており、子ども世代といえども、自身の相続を検討する必要性を考慮する必要があります。

 

終活や相続対策に関するアドバイスは

ライフ&マネーソムリエ Office-Tak(オフィスタク)

代表 尾﨑琢磨

までお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

*国税庁が発表する、各年分の相続税の申告事績による