今、学校で「金融」を学べる機会が増えています。
2022年4月から、高校で金融に関する授業がスタートし、「公共」という新たな教科の中で金融や経済の基本的な仕組みが、また「家庭科」で個人の人生設計や投資信託など金融商品のことが学べるようになりました。
中学でも2021年4月から、家計のシミュレーションゲームや仕事と社会のかかわりの学習など、金融や経済に関する授業がスタートしています。
これまで金融や経済は、小中高では社会科の学習内容のごく一部でしたし、大学では、経済学部や商学部など特定の学部で学べた、とはいうものの理論が中心でした。なので、社会人になって、「初任給をどのように貯め、殖やしていくか」前もって具体的に考えた方は、とても少ないのではないかと思います。
金融教育が拡充された背景には、2022年4月の民法改正があります。成年年齢が20歳から引下げられ、18歳でも親の同意なしでローンやクレジットカードの契約ができることになり、金融や経済の知識と判断力(金融リテラシー)がより早い段階で必要となりました。
そもそも日本は、少子高齢化と年金財政の悪化、低金利の長期化という別の問題を抱えていたこともあり、学習指導要領に基づいた授業を通じ、若い頃から金融リテラシーに触れる機会が増えるのは好ましいことと思います。
これまでの金融教育は、政府(金融庁、日銀)のほか業界団体(全銀協、日証協)が個々に取り組んできましたが、これからは、2024年4月に官民一体で発足した「金融経済教育推進機構(J-FLEC)」が中心となって行うことになりました。
2022年に行われた金融リテラシーに関する調査*によると、「金融教育を受けたと認識している人は7%」にとどまる一方、「生活設計や家計管理等の『金融教育』を学校で行うべきと思う人は72%」と、金融教育に関するニーズはとても高く、8月に予定されているJ-FLECの本格稼働が待たれるところです。
J-FLECは、金融教育を「中立的な立場から広く提供していく」としており、その担い手については、「特定の金融機関や金融商品に偏らない中立的な立場の人材を『認定アドバイザー』としてサービスを提供させる」としています。
応募基準は今後発表されるようですが、独立系のファイナンシャルプランナーへの期待が高いと考えられることから、私も機会があればぜひ積極的に手を挙げ、金融教育の普及に貢献していきたいと思います。
*日銀が事務局を務める「金融広報中央委員会」が、2022年に3万人を対象に実施。